歯科医院の開業・開院の流れとポイント|開院費用の目安や市場規模

歯科医院の開院に必要な資格や費用目安、開院までの流れや成功のポイントをわかりやすく解説。これから歯科開業を検討する方に役立つ実践的な情報をまとめました。

目次

    歯科医師としての経験を積み、独立して自分の歯科医院を開院したいと考える方は少なくありません。地域に根ざした医療を提供できるだけでなく、診療方針や経営方針を自分で決定できるのが歯科開業の大きな魅力です。
    一方で、開院には資格や届出、数千万円規模の初期費用がかかるなど、多くの準備が必要になります。

    また、歯科医院は全国に数多く存在し競争が激しいため、資金調達や立地選び、マーケティング戦略までを総合的に考えなければ安定した経営を実現することはできません。

    本記事では、歯科医院を開院するために必要な資格や費用の目安、市場動向や開院の流れ、そして成功のポイントを整理して解説します。開業を検討している歯科医師の方は、ぜひ参考にしてください。

    歯科医院の開院に関する基本情報

    歯科医院は、医療の中でも地域住民の生活に密着した存在です。むし歯や歯周病の治療はもちろん、予防歯科や審美歯科、インプラントなど幅広い診療ニーズがあり、年齢やライフスタイルを問わず多くの患者に利用されています。
    開業を目指す歯科医師にとっては、医療人として地域に貢献できるやりがいとともに、経営者としてのキャリアを築ける点も大きな魅力です。

    歯科医院の市場規模

    厚生労働省「医療施設動態調査」によると、2023年時点で全国の歯科診療所数は66,818施設となっており、前年比-1.4%とわずかに減少しています。依然として「コンビニより多い」と言われるほどの数があり、供給過多とも指摘される市場です。

    しかし一方で、国民の健康志向の高まりや高齢化を背景に、予防歯科や訪問歯科の需要は増加しています。また、矯正やホワイトニング、インプラントなどの自由診療は患者のニーズが拡大しており、経営戦略次第で収益性を高められる余地があります。

    さらに、2025年には団塊の世代がすべて後期高齢者となり、訪問診療や口腔ケアの需要は一層高まると予測されています。市場全体は横ばい傾向にあるものの、サービスの多様化や診療スタイルの工夫によって、新規参入のチャンスは十分にあるといえるでしょう。

    一方で、世界全体の歯科市場は拡大を続けています。Fortune Business Insightsの調査によると、2024年の市場規模は3,786億6,600万米ドルと評価され、2025年には4,103億米ドル、2032年には8,765億米ドルに達すると予測されています。

    参考:医療施設調査
    参考:歯科市場の規模、シェア、成長|業界の動向[2032]

    歯科医院開院のメリット

    歯科医院を開院することには、以下のようなメリットがあります。

    診療方針を自由に決められる
    勤務医よりも高い収入を得られる可能性がある
    地域に根ざした医療を提供できる
    経営者としてのキャリアを築ける

    このように、歯科医院を開院することで、自らの理想に合った診療方針を実現できるだけでなく、経営者としての収入やキャリア形成も可能になります。特に、地域のかかりつけ医として長期的に信頼関係を築ける点は、勤務医では得られにくいやりがいといえるでしょう。
    さらに、マネジメントやマーケティングといった経営スキルを磨く機会にもなり、医療人としての成長に加えてビジネスパーソンとしての成長も期待できます。

    歯科医院の開院に必要な資格

    歯科医院の開院に必要な資格の画像


    歯科医院を開院するには、まず歯科医師免許が必須です。歯科医師法に基づき、国家試験に合格して厚生労働大臣から免許を受けなければ、診療行為を行うことも、歯科医院を開設することもできません。

    さらに、複数の歯科医師を配置する場合には、診療所の管理を担う管理歯科医師を選任する必要があります。管理歯科医師は常勤でなければならず、施設基準を満たしているかどうかの責任を負う立場です。

    また、診療報酬の算定を行うには、保険医療機関としての指定を受ける必要があります。開院後に所轄の地方厚生局へ「保険医療機関指定申請」を行い、承認を受けることで、健康保険を適用した診療を行えるようになります。

    このように、歯科医院を開院するには歯科医師免許が大前提であり、そのうえで管理歯科医師の選任や保険医療機関の指定申請といった手続きを進めることが求められます。資格と手続きを正しく理解し、開院準備を進めることが成功の第一歩です。

    歯科医院の開院に必要な費用目安

    歯科医院を開院する際には、数千万円規模の資金が必要となります。ここでは、初期費用・運転費用・資金調達の方法について整理します。

    初期費用

    歯科医院の初期費用は、規模や立地、導入する機器によって大きく変動しますが、一般的には5,000万〜1億円程度が目安とされています。内訳は以下の通りです。

    歯科医院の開院に必要な費用目安の表


    診療科目や診療方針によって導入機器は変わります。特に歯科用CTや最新のデジタルスキャナーなどは高額で、開業資金の大部分を占めます。

    初期費用を抑えたい場合、居抜き物件を活用すると、診療ユニットやレントゲン設備、配管工事、内装工事の費用を抑えられます。

    居抜き物件での歯科開業については、以下のページをご確認ください。
    「居抜き物件で歯科医院を開設するなら?物件探しのコツと注意するポイント」

    運転費用

    開院後は、毎月の運転費用も必要です。おおよその目安は月100万〜300万円程度で、以下のような支出があります。

    運転費用の表


    開院直後は患者数が安定せず赤字になりやすいため、最低でも6ヶ月分の運転資金を準備しておくことが望ましいとされています。

    資金調達の方法

    歯科医院の開院には数千万円規模の費用がかかるため、自己資金だけでまかなうことは現実的に難しく、多くの場合は外部からの資金調達が必要となります。代表的な方法は以下の通りです。

    金融機関からの融資
    日本政策金融公庫や民間銀行では、医療機関向けの開業資金融資制度が用意されています。特に政策金融公庫は無担保・無保証での創業融資に対応しており、歯科医院の開業でも広く利用されています。

    自治体の補助金・助成金
    地域によっては、医療機関の誘致や地域医療の充実を目的に、補助金や助成金制度が設けられています。内装工事費や広告宣伝費の一部を補助してもらえる場合があり、資金負担を軽減できます。

    資金調達の基本は金融機関からの融資ですが、補助金・助成金を併用することで資金繰りの安定性を高められます。自己資金はあくまで「融資審査を通りやすくするための信用材料」として位置づけられるため、事前にある程度の準備をしておくことが望ましいでしょう。

    歯科医院開院の流れ

    歯科医院開院の流れの画像


    歯科医院を開院するには、資格や資金だけでなく、事業計画や立地選び、行政手続き、集客まで段階的に進めることが必要です。以下では、一般的な流れを整理します。

    コンセプトを決定する

    まずは「どんな歯科医院にしたいか」というコンセプトを明確にすることが出発点です。予防歯科に力を入れるのか、小児や高齢者に特化するのか、あるいは審美歯科やインプラントを強化するのかによって、導入する設備や立地、ターゲット層は大きく変わります。
    コンセプトが曖昧だと経営の軸がぶれてしまうため、開院前の段階で方向性を固めることが重要です。

    開院場所を選定する

    立地は歯科医院経営の成否を左右する大きな要素です。周辺人口や競合医院の数、ターゲット層が通いやすい交通の便などを調査しましょう。住宅街の近くなら「かかりつけ歯科」として通院しやすく、オフィス街では「昼休みや仕事帰りに通える診療所」としての強みがあります。
    物件の外観や清潔感も患者の安心感につながるため、内外装を含めて慎重に選びましょう。

    事業計画書を作成する

    開院資金の内訳、想定される売上、ランニングコスト、損益分岐点などを明確にした事業計画書を作成します。事業計画書は資金調達の審査に必要となるだけでなく、自分自身の経営指針としても役立ちます。
    診療内容や提供メニュー、ターゲット層、競合との差別化ポイントなども盛り込み、数値と戦略の両面から説得力のある内容にしましょう。

    資金調達を行う

    自己資金だけで数千万円規模の開院資金をまかなうのは難しいため、日本政策金融公庫や民間金融機関からの融資が一般的です。補助金・助成金を併用できれば初期投資の負担を軽減できます。
    資金調達の際は、審査で事業計画や自己資金の割合が重視されるため、準備を怠らないようにしましょう。

    開業に利用できる助成金については、以下の記事で詳しく解説しています。
    「開業時におすすめの補助金・助成金制度11選。申請時の注意点も解説」

    設備・備品の購入をする

    歯科ユニット、レントゲン、CT、滅菌器など、診療に必要な医療機器を揃えます。これらは高額なため、リース契約を活用して初期費用を抑えるケースもあります。待合室や診療室の内装は、清潔感と安心感を与えることが大切です。
    さらに、予約管理システムや電子カルテなどのITツールを導入することで、業務効率化や患者サービスの向上につながります。

    開院の手続きをする

    開院にあたっては、行政への各種届出が必要です。保健所への「診療所開設届出」、地方厚生局への「保険医療機関指定申請」、税務署への「開業届」や「青色申告承認申請」などを期日までに提出しなければなりません。
    スタッフを雇用する場合は、労働保険や社会保険の手続きも必要です。

    集客を行う

    開院準備と並行して集客施策を行うことも重要です。ホームページやGoogleビジネスプロフィールの整備、SNSでの情報発信はもちろん、地域住民に向けた内覧会やポスティングなども効果的です。
    開院直後は新規患者の獲得が経営安定につながるため、積極的に情報を発信して医院の存在を認知してもらいましょう。

    歯科医院の開院を成功させるポイント

    歯科医院を安定的に経営し、長く地域に支持される医院にするためには、開院準備だけでなく、その後の運営における工夫も重要です。以下のポイントを意識すると、開院後の成長につながります。

    診療方針に合った内装・設備を整える

    医院のコンセプトや診療方針に合わせて、内装や設備を整えることが大切です。
    例えば、予防歯科を重視するならクリーニング専用のスペースを設けたり、小児歯科に注力するなら子どもが安心できる内装やキッズスペースを用意すると効果的です。設備面では、デジタルレントゲンやCTを導入すれば精密な診断が可能になり、患者への信頼感も高まります。
    診療内容と内装・設備の方向性を一致させることで、医院の強みを明確にできます。

    スタッフ採用と教育を計画的に進める

    歯科医院の品質は、歯科医師一人の技術だけでなく、歯科衛生士や助手、受付スタッフの対応によっても左右されます。採用時には医院の理念や方針に共感してもらえる人材を選び、定期的な研修を行うことで接遇力やスキルを高めていくことが重要です。
    働きやすい職場環境を整えることで離職率を下げ、安定したチーム運営につなげられます。

    開院前から地域に向けた情報発信を行う

    開院してから患者を待つのではなく、開院準備の段階から地域に向けて情報発信を行いましょう。例えば、開院予定地に看板を掲示したり、内覧会を開催して地域住民に医院を知ってもらうことは有効です。
    また、ホームページやSNSを活用して開院予定日や診療内容を告知することで、オープン時から患者をスムーズに迎え入れることができます。

    ターゲット層に合った立地を選ぶ

    医院のターゲット層に合わせた立地選びも成功の鍵です。ファミリー層をターゲットにするなら住宅街や学校の近く、高齢者を対象にするならバリアフリー設備が整った施設や公共交通機関のアクセスが良い場所が適しています。
    また、競合医院の数や地域住民の年齢層を調査し、自院が強みを発揮できる立地かどうかを見極めましょう。

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    まとめ

    歯科医院の開院には、歯科医師免許の取得を前提に、資格や行政手続き、設備投資、スタッフ採用、集客といった多くの準備が必要です。初期費用だけで数千万円規模の資金が必要となるため、事業計画をしっかりと立て、融資や補助金を活用しながら資金繰りを安定させることが大切です。

    また、競争が激しい歯科市場においては、診療方針に合った内装・設備を整え、信頼できるスタッフを育成し、開院前から地域に向けて情報発信を行うことが成功のポイントになります。ターゲット層に合った立地を選ぶことも欠かせません。

    地域に根ざし、患者に信頼される歯科医院を築くためには、医療人としての技術だけでなく、経営者としての視点を持つことが求められます。入念な準備と戦略的な運営によって、長く愛される歯科医院を目指しましょう。

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