開業時におすすめの補助金・助成金制度11選。申請時の注意点も解説

個人事業主向けのおすすめ開業補助金・助成金11選をご紹介。女性やシニア向けの融資金についてもご紹介します。申請要件や注意点も詳しく解説。開業をお考えの方は自分に合った制度を選ぶ参考にしてください。創業時の資金調達にお悩みの方は必見です。

目次

    個人事業主の開業時は、資金調達に苦労するケースが多いものです。しかし、国や自治体が提供する補助金や助成金制度をうまく活用することで、開業資金を確保しやすくなります。
    開業時の資金源として利用できる補助金・助成金はさまざまですが、申請要件や募集時期が異なるため、自身の事業計画に合ったものを選ぶことが重要です。
    そこで本記事では、開業時に利用できる主な補助金・助成金を11個ピックアップし、それぞれの特徴や申請時の注意点について解説します。
    女性やシニア向けの融資金についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

    補助金と助成金の違い

    補助金と助成金は、ともに事業や活動を支援するための制度ですが、支給の目的に大きな違いがあります。まずは、補助金と助成金の違いについて詳しく見ていきましょう。

    補助金と助成金の違いの表

    補助金とは

    補助金とは、国や自治体の政策目的に合致する事業に対して交付される資金のことです。例えば、創業支援や地域活性化、環境対策などの分野で補助金が用意されています。
    開業時には、事業計画の実現に向けてさまざまな補助金を活用することができます。ただし、補助金によって対象となる事業者や事業内容、申請要件などが異なるため、自身の事業に適した補助金を選びましょう。

    助成金とは

    助成金とは、国や地方公共団体が、公益性の高い事業や活動を支援・促進するために支給する資金のことです。助成金は、事業の発展や雇用の創出、地域の活性化など、社会的に意義のある取り組みを後押しするために支給されます。申請にあたっては、受給要件を満たしていることが重要です。

    また、国や自治体の制度には補助金と助成金のほかに融資金制度もあります。融資金は、事業主に対して国や自治体が事業用資金を貸し出すというものです。
    補助金や助成金は返済する必要はありませんが、融資金は返済する必要があります。

    個人事業主が開業時に利用できる各自治体の補助金・助成金

    個人事業主が開業する際、各自治体が提供する補助金・助成金制度を活用することで初期費用の負担を軽減できます。本項目では、各自治体の代表的な制度を紹介します。

    ●   創業助成事業(東京都)
    ●   起業支援金
    ●   特定創業支援事業制度

    これらの制度は自治体によって内容が異なるため、創業予定の地域の制度をよく確認することが大切です。それぞれの制度について詳しく見ていきましょう。

    創業助成事業(東京都)

    東京都では、創業支援の一環として創業助成事業を実施しています。この助成金は都内で創業する個人事業主や中小企業を対象に、創業に要する経費の一部を助成するものです。
    都内での創業を具体的に計画している個人、または創業後5年未満の中小企業者等のうち、一定の要件を満たす方が対象となっています。助成限度額は上限400万円(下限100万円)で、人件費や事務所等の賃借料、設備費、原材料費、仕入れ費などが助成対象となります。
    対象者は、経営経験が通算5年未満、開業届を出してから5年未満など、個人事業主や法人など状況によって要件は変わってきます。自分が当てはまるかどうか公式サイトからチェックしましょう。

    参考:創業助成金(東京都中小企業振興公社)|融資・助成制度

    東京都の創業助成事業以外にも、地方自治体によってさまざまな創業支援の補助金・助成金制度があります。例えば、横浜市では「空き店舗開業助成事業」を実施しています。この制度は、横浜市内の商店街の空き店舗で開業する個人事業主に対し、店舗の賃借料や改装費の一部を助成するものです。自身が開業したい地域に特化した助成制度がないか調べてみましょう。

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    起業支援金

    起業支援金は、地域の課題解決に資する社会的事業を新たに起業等する方を対象に、都道府県が必要な経費を助成する制度です。
    補助上限額は最大200万円(対象経費の1/2)で、本事業を行う都道府県内に居住していること、または居住する予定であることなどを満たす必要があります。

    参考:起業支援金

    特定創業支援事業制度

    特定創業支援事業制度とは、自治体が主体となって創業を支援する事業のことです。国の認定を受けた自治体が、商工会議所や民間事業者などと協力して実施しています。
    この制度を利用すると、スタートアップ時のさまざまな課題解決に役立つサポートを受けられます。支援事業の内容は自治体によって異なりますが、特定創業支援事業を受けた証明書の発行を受けると、登記にかかる登録免許税が軽減されたり、新創業融資が受けやすくなったりするなどのメリットもあります。スタートアップ時に利用を検討してみてはいかがでしょうか。

    個人事業主が開業時に利用できる助成金・補助金

    個人事業主が開業時に利用できる助成金・補助金の写真


    個人事業主が開業時に利用できる主な助成金・補助金は以下のようなものがあります。

    ●   地域雇用開発助成金
    ●   キャリアアップ助成金
    ●   自治体の創業支援金
    ●   IT導入補助金

    上記以外にも、事業再構築補助金やものづくり補助金など、個人事業主の方が利用できる助成金・補助金は多岐に渡ります。飲食店を開業したい方、小売店を開業したい方など、事業の種類によっても選択すべき制度は異なるでしょう。
    それぞれの特徴をご紹介します。

    地域雇用開発助成金

    地域雇用開発助成金は、雇用機会が特に不足している地域などにおいて、事業所を設置・整備し、求職者を雇い入れた事業主に対して支給される助成金です。事業所の設置等の費用と雇い入れにより増加した労働者数に応じて助成されます。
    支給対象となるためには一定の要件を満たす必要がありますが、開業時の雇用に悩む事業主にとって心強い制度と言えるでしょう。

    参考:地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)|厚生労働省

    キャリアアップ助成金

    キャリアアップ助成金は、従業員の職業訓練などを実施する事業主に対して助成される制度です。従業員の能力開発やキャリアアップを支援することで、人材育成や定着率の向上を図ることができます。
    キャリアアップ助成金には多くのコースがあり、事業主のニーズに合わせて活用できます。主に、以下のようなコースがあります。

    ●   正社員化コース: 有期雇用労働者等を正社員化する
    ●   障害者正社員化コース: 障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換する
    ●   賃金規定等改定コース: 有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を改定し3%以上増額する

    キャリアアップ助成金の活用により、従業員の処遇改善やスキルアップを図りながら、人材の定着や生産性の向上につなげることができるでしょう。

    参考:キャリアアップ助成金|厚生労働省

    自治体の創業支援金

    開業時に利用できる助成金・補助金制度として、各自治体が独自に設けている創業支援金があります。自治体によって名称や内容は異なりますが、創業時の初期費用の一部を補助してくれる制度です。
    例えば、前述した東京都の「創業助成事業」では、上限400万円の助成金が支給されます。
    創業予定の地域の自治体のホームページなどで、支援制度の有無や内容を確認しておくことをおすすめします。申請には要件がありますので、注意が必要です。

    IT導入補助金

    IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等がITツール(ソフトウェア、サービス等)を導入する経費の一部を補助する制度です。
    IT導入補助金を活用すれば、業務の効率化やコスト削減を実現し、生産性の向上や売上アップにつなげることができるでしょう。
    申請にあたっては、自身の課題にあったITツールを選定し、具体的な導入計画を立てることが重要です。また、申請書類の作成や事業完了報告など、一定の手続きが必要となります。
    IT導入補助金で開業時のデジタル化を進め、業績アップを目指しましょう。

    参考:IT導入補助金

    小規模事業者持続化補助金

    小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓等のための取り組みを支援するための補助金です。補助上限額は下記の通りとなっています。

    小規模事業者持続化補助金の表


    この補助金の対象となるのは、商業・サービス業、宿泊業・娯楽業、製造業などの法人、個人事業、特定試営業利活法人です。
    補助対象経費としては、チラシ・ポスター・看板等の作成費用や、新たな需要を開拓するために行う広告宣伝費、展示会出展費用などが該当します。
    募集時期は年に複数回設けられていますので、申請をお考えの方は早めに準備しましょう。

    参考:小規模事業者持続化補助金

    人材確保等支援助成金

    人材確保等支援助成金は、人材の確保や定着を図るための取り組みを行った事業主に対して助成する制度です。主に以下のコースがあります。

    ●   雇用管理制度助成コース
    ●   中小企業団体助成コース
    ●   人事評価改善等助成コース
    ●   建設キャリアアップシステム等普及促進コース
    ●   若年者および女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)
    ●   作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
    ●   外国人労働者就労環境整備助成コース
    ●   テレワークコース

    助成額はコースによって異なるため、公式サイトで確認しましょう。開業時の人材確保や職場環境整備に活用できる助成金制度と言えます。

    参考:人材確保等支援助成金|厚生労働省

    ものづくり補助金

    ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等が取り組む、生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善に必要な設備投資等を支援するための補助金です。
    対象となるのは中小企業・小規模事業者で、従業員なしの個人事業主でも申請できます。
    中小企業が経営革新のための設備投資等に使える補助上限額は750万円〜5,000万円、補助率1/2もしくは2/3となっています。

    参考:ものづくり補助金

    事業再構築補助金

    事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業等を対象に、新分野展開や業態転換等の事業再構築を支援する補助金です。
    成長分野進出枠(通常類型)、成長分野進出枠(GX進出類型)、コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)などがあり、申請するには全枠共通で以下の要件を満たす必要があります。

    ●   事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
    ●   事業計画を金融機関等や認定経営革新等支援機関と策定し、確認を受けていること
    ●   付加価値額を向上させること

    成長分野進出枠(通常類型)の場合、従業員数20人以下の事業者の補助上限額は1,500万円、補助率は中小企業で1/2、中堅企業で1/3となっています。
    事業再構築に取り組む際は、この補助金の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

    参考:事業再構築補助金

    個人事業主が開業時に利用できる融資制度

    上記でご紹介した補助金、助成金と異なり、融資制度は返済する必要があります。しかし、低金利で借り入れられることや、借入できる限度額が大きいことなどのメリットがあります。
    本項目では、個人事業主が開業時に利用できる「新規開業資金」について見ていきましょう。開業時の資金調達にお悩みの方は融資金制度も視野に入れることをおすすめします。

    新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)

    女性の起業を支援する融資制度として、日本政策金融公庫の新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)があります。これから事業を始める女性や、事業開始後おおむね7年以内の女性経営者、または35歳未満、55歳以上の方が対象です。
    最大7,200万円を低金利で融資します。女性の社会進出を後押しする心強い制度です。

    参考:新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)

    新規開業資金(再挑戦支援関連)

    新規開業資金のうち再挑戦支援関連の制度は、過去に事業を廃業した方が再度開業する際に利用することができます。
    新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方のうち、以下の項目すべてに該当する方が対象となっています。

    ●   廃業歴等を有する個人、または廃業歴等を有する経営者が営む法人であること
    ●   廃業時の負債が新たな事業に影響を与えない程度に整理される見込み等であること
    ●   廃業の理由・事情がやむを得ないもの等であること

    こちらの制度も最大7,200万円を低金利で融資します。再挑戦支援関連の新規開業資金を活用することで、過去の経験を活かしつつ、再スタートを切るための資金を確保することができるでしょう。再度の開業にチャレンジする方は、ぜひ利用を検討してみてください。

    助成金・補助金申請時の注意点

    助成金・補助金申請時の注意点の写真


    開業時に助成金や補助金の制度を利用する際は、いくつか注意すべき点があります。

    ●   要件を満たす必要がある
    ●   支給まで時間がかかる
    ●   資金計画が重要
    ●   課税対象になる

    それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。

    要件を満たす必要がある

    開業時に各種助成金・補助金を活用する際は、申請要件を確認することが大切です。助成金や補助金ごとに、対象となる事業内容や申請者の条件などが定められているためです。
    例えば、「創業促進補助金」は創業して間もない中小企業者等、「事業再構築補助金」は新型コロナウイルスの影響を受けつつも事業再構築に取り組む中小企業等が対象となります。
    要件を満たしていないと申請自体ができないこともあるため、事前の確認を怠らないようにしましょう。開業時の資金負担を軽減するためにも、要件をクリアして確実に申請できるよう十分な準備が必要です。

    支給まで時間がかかる

    助成金や補助金の申請が通って支給されるまでには、一定の時間を要します。申請から支給までの期間は助成金や補助金の種類によって異なりますが、早くて1ヶ月、長いものだと数ヶ月かかるケースもあるでしょう。
    さらに、申請書類の不備や追加資料の提出、審査の遅れなどにより、支給までにさらに時間がかかる可能性もあります。創業時の資金繰りを考える際は、これらの助成金や補助金が入金されるタイミングを念頭に置いておきましょう。

    資金計画が重要

    前述したように、助成金や補助金は申請から支給まで数ヶ月かかる場合があるため、支給を見越した事業計画が重要です。支給までの期間は自己資金や借入金で賄う必要があります。 計画のポイントとしては、以下のようなものが挙げられます。

    ●   事業の目的と目標を明確にし、必要資金を算出
    ●   自己資金、借入金、助成金・補助金など資金調達方法を検討
    ●   資金繰りを考慮し、支出と収入のバランスを取る

    無理のない入念な資金計画を立て、助成金や補助金を有効活用しましょう。

    課税対象になる

    助成金や補助金は事業を行うための収入として見なされるため、原則として課税対象となります。つまり、確定申告の際に「雑所得」や「事業所得」として申告し、所得税や住民税を納める必要があるのです。
    ただし、助成金や補助金の種類によっては非課税となる場合もあります。例えば、以下のような助成金・補助金は非課税となります。

    ●   国や地方公共団体から交付される助成金のうち、資産の取得や改良に充てるために交付されるもの
    ●   国や地方公共団体から交付される補助金のうち、事業者の収入を補填するために交付されるもの

    助成金や補助金が課税対象になるかどうかは、その使途によって異なります。課税対象となる場合は、適切に確定申告を行い、納税義務を果たすことが重要です。

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    開業時の店舗やオフィス探しで重要なのは、立地や賃料、広さなど、自身の事業に適した物件を見つけることです。しかし、自分で物件探しをするのは大変な手間と時間がかかるでしょう。そこでぜひ利用していただきたいのが、テナント物件に特化したサービス「テナリード」です。
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    開業時に利用できる主な補助金・助成金はたくさんあります。これらを活用することで、開業時の負担を軽減できるでしょう。一方、申請には要件があり、支給まで時間を要するため注意が必要です。
    自身の事業に合った制度を見つけ、要件と注意点を確認した上で活用を検討しましょう。適切な補助金・助成金の利用は、開業を成功に導く一助となるはずです。

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