整体院は、肩こりや腰痛、姿勢改善などの悩みを抱える人々にとって身近な存在です。近年は健康志向の高まりや在宅ワークの普及によって整体需要が増えており、独立・開業を目指す人にとって魅力的な分野といえます。
ただし、整体院の開業には、資格や届け出、物件選び、集客戦略など多くの準備が欠かせません。本記事では、整体院開業に必要な基本情報から費用目安、開業の流れ、成功のポイントまでを整理してご紹介します。
整体院の開業に関する基本情報
整体院の開業を検討する際には、市場の動向や参入のしやすさといった基本情報を押さえておくことが重要です。整体業界は健康志向の高まりとともに利用者が増え、需要が拡大していますが、一方で競合も多く経営戦略が求められる分野です。ここでは、整体院の市場規模や開業のメリットについて解説します。
整体院の市場規模
整体院は、リラクゼーションや体の不調改善を目的としたサービスとして広がりを見せています。特に在宅ワークの普及や健康志向の高まりから、肩こり・腰痛・姿勢改善などを求める利用者が増えており、需要は拡大傾向にあります。
矢野経済研究所の調査によると、2023年の柔道整復・鍼灸・マッサージ市場は前年比3.0%増の9,850億円と推計されています。この調査は整体院単体ではなく周辺業種も含んだ市場規模ですが、代替医療やリラクゼーション分野全体の成長を示しており、整体院の利用増加にもつながっていると考えられます。
今後も市場は堅調に推移すると見込まれますが、周辺業種との競争は激しさを増しています。サービスの差別化や人材育成、広告ガイドラインへの対応といった経営課題にしっかり向き合うことが、開業後の安定運営に欠かせません。整体院を開業する際は、市場動向や競合状況を把握し、独自の強みを打ち出すことが成功のカギとなります。
参考:柔道整復・鍼灸・マッサージ市場に関する調査を実施(2024年) | ニュース・トピックス
整体院開業のメリット
整体院を開業することには、次のようなメリットがあります。
・比較的少ない資金で開業できる
・資格の制約が少なく、独立しやすい
・技術や接客で差別化しやすい
・リピート率が高く安定経営につながりやすい
・健康志向の高まりで需要が拡大している
整体院は数百万円規模から開業できるため独立のハードルが低く、国家資格が不要である点も参入しやすさにつながっています。ただし、医療行為を行うことはできず、「治療」「治す」といった医療的な表現は法律で禁止されているため、施術内容や広告表現には注意が必要です。
一方で、施術スキルや接客力によって顧客からの信頼を得やすく、継続利用につながるケースが多いのも特徴です。リピーターを獲得できれば安定的な経営が期待でき、市場全体が拡大傾向にあることから、新規参入でも成長の余地が十分にある点は大きな魅力と言えるでしょう。
整体院の開業に必要な資格
整体院を開業するにあたって、法律で必須とされる資格はありません。そのため、誰でも整体師を名乗って開業することは可能です。
ただし、身体に直接関わる施術を行う以上、顧客の信頼性や安全性を高めるために資格を取得しておくことには大きな意味があります。
例えば、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師といった国家資格を持っていれば、医療類似行為として幅広い施術を提供でき、利用者からの信頼も得やすくなります。
一方で、国家資格がなくても、整体団体や業界機関が認定する民間資格を取得すれば、一定の知識や技術の裏付けを示すことができ、集客やブランディングに役立ちます。
整体院の開業に資格は必須ではありませんが、施術の内容や経営スタイルに合わせて国家資格や民間資格を活用することで、他院との差別化や顧客からの信頼確保につなげられるでしょう。
整体院の開業に必要な届出・許可

整体院は法律上「医療機関」ではないため、病院や接骨院のように厚生労働省管轄の医療法による開設許可は不要です。整体師という職業自体に国家資格や免許制度がなく、開業そのものは比較的自由に行えます。ただし、事業として整体院を運営する以上は、一般的な店舗運営に必要な各種届け出や許可を整える必要があります。
まず、個人事業として開業する場合は、税務署に「個人事業の開業届」を提出します。青色申告を希望する場合は「青色申告承認申請書」も同時に提出しておくと、節税のメリットが得られます。法人化する場合には、定款認証や登記申請といった法的手続きが必要です。
また、整体院でスタッフを雇用する場合は、労働基準監督署やハローワークでの労働保険(労災保険・雇用保険)の手続き、年金事務所での社会保険加入手続きが求められます。さらに、利用者が安心して施術を受けられる環境を整えるために、消防法や建築基準法に基づいた安全基準を満たしているかを確認し、必要に応じて消防署への届出を行うことも重要です。
つまり整体院の開業には、医療機関のような特別な許可は不要ですが、税務・労務・安全管理といった観点からの届け出は必須です。特に物件を借りて開業する場合は、用途地域や建物の使用条件によって必要な届出が異なることがあるため、契約前に物件オーナーや行政窓口に確認しておくと安心です。
整体院の開業に必要な費用目安
整体院の開業には、物件取得や内装工事、設備導入にかかる初期費用と、開業後に毎月必要となる運転費用の両方を見込んでおく必要があります。ここでは一般的な目安をご紹介します。
初期費用
整体院の初期費用は、規模や立地によって差がありますが、おおよそ300万〜700万円程度が目安です。
内訳は以下の通りです。

自宅を改装して開業する場合は費用を抑えられますが、テナントで開業する場合は立地や規模に応じて大きな出費となる点に注意が必要です。
運転費用
開業後は毎月の固定費・変動費がかかります。整体院の運転費用の目安は月20万〜50万円程度です。

自宅開業や1人運営の場合は家賃や人件費を抑えられるため、月10万〜20万円前後で運営できるケースもあります。一方で、テナントを借りてスタッフを雇い入れる本格的な整体院では、上限近い支出になることが多いです。
また、開業初期は新規集客に力を入れる必要があるため、広告宣伝費は通常より多めに確保しておくと安心です。最低でも3ヶ月分、できれば6ヶ月分の運転資金(60万〜300万円程度)を手元に用意しておくことで、売上が安定するまでの資金繰りに余裕が持てます。
資金調達の方法
整体院の開業には、初期費用と運転資金を合わせて数百万円規模の資金が必要になります。自己資金だけでまかなうのは難しいため、以下のような方法を組み合わせて調達するのが一般的です。
日本政策金融公庫の融資制度
創業者向けの「新創業融資制度」など、無担保・無保証で利用できる制度があり、整体院開業でも広く活用されています。開業間もない事業者にとって最も頼りやすい融資先です。
民間金融機関の融資
地方銀行や信用金庫の創業融資を利用するケースも多く、日本政策金融公庫の融資と併用することも可能です。審査では、事業計画書や自己資金比率が重視されます。
自治体の補助金・助成金
小規模事業者持続化補助金や創業支援補助金など、地域によって利用できる制度があります。広告宣伝費や設備投資費用の一部を補助してもらえる場合があり、資金負担を大きく減らせます。
融資を受ける際は、総資金の2〜3割程度を自己資金として準備していることが目安になります。これは金融機関が「開業に対する本気度」を判断する基準のひとつでもあるため、資金計画段階から自己資金を積み立てておくことが重要です。
整体院開業の流れ
整体院を開業するには、物件取得や資金調達など、様々な手続きが必要なため、流れを知っておくとスムーズに進められます。ここでは、開業までの基本的な流れを整理しました。
コンセプトを決定する
まずは「どんな整体院にしたいのか」というコンセプトを明確にしましょう。リラクゼーション重視、スポーツ整体、姿勢改善や骨盤矯正など、方向性によってターゲット層や施術内容、価格帯が大きく変わります。コンセプトが曖昧だと差別化が難しくなるため、得意分野や地域の需要をふまえて軸を決めることが重要です。
開業場所を選定する
整体院の立地は集客に直結します。駅近や商業施設周辺など人通りの多いエリアは集客しやすい反面、家賃が高い傾向があります。住宅地や郊外は固定客を確保できれば安定的に経営できますが、集客に工夫が必要です。ターゲット層が通いやすい場所かどうかを重視して選びましょう。
事業計画書を作成する
融資を受ける際に必須となるのが事業計画書です。開業資金の内訳や運転資金の見込み、想定売上、収支計画を具体的にまとめます。また、競合調査やターゲット層、差別化ポイントを盛り込むことで、金融機関からの信頼を得やすくなります。
資金調達を行う
開業費用を自己資金だけでまかなうのは困難なため、日本政策金融公庫や信用金庫などからの融資、自治体の補助金・助成金を活用して資金を調達します。必要な資金額と返済計画を明確にし、資金繰りに余裕を持たせることが大切です。
開業に利用できる助成金については、以下の記事で詳しく解説しています。
「開業時におすすめの補助金・助成金制度11選。申請時の注意点も解説」
設備・備品の購入をする
施術ベッド、タオルウォーマー、空調、消耗品、PCや予約システムなどを揃えます。院内は清潔感があり、リラックスできる雰囲気を意識することが顧客満足度につながります。内装工事を行う場合は、待合スペースや施術室の区切り方など動線を考慮すると良いでしょう。
開業の手続きをする
整体院自体に特別な免許は不要ですが、事業として運営するためには税務署への「開業届」提出が必要です。スタッフを雇用する場合は、労働保険や社会保険の手続きも欠かせません。物件を借りる際には建築基準法や消防法に適合しているか確認しておくことも大切です。
集客を行う
開業直後は新規顧客をいかに集めるかが課題になります。チラシや看板といったオフライン施策に加え、ホットペッパービューティーやGoogleマイビジネスの登録、SNSを活用したオンライン集客も効果的です。オープニングキャンペーンを実施し、口コミを増やしてリピーターを獲得していくことが安定経営につながります。
整体院の開業を成功させるポイント

整体院を長く安定して経営していくためには、開業準備だけでなく、その後の運営で工夫を積み重ねることが重要です。以下のポイントを意識することで、顧客に選ばれる整体院をつくることができます。
診療方針に合った内装・設備を整える
整体院の内装や設備は、コンセプトや診療方針と一致していることが大切です。リラクゼーション重視なら落ち着いた照明やアロマを取り入れ、スポーツ整体なら広いスペースや運動器具を備えるなど、ターゲット層に合わせた空間づくりを行いましょう。内装や設備は単なる雰囲気づくりだけでなく、安心感や信頼感を顧客に与える要素でもあります。
スタッフ採用と教育を計画的に進める
スタッフを採用する場合は、技術力だけでなく接客姿勢も重視することが重要です。また、マニュアルや研修制度を整えて教育を計画的に進めることで、サービスの質を均一に保つことができます。定期的に勉強会を実施し、技術と接客力の両面を向上させる取り組みを継続することが信頼につながります。
リピートにつなげる施術力と接客力を磨く
整体院の経営を安定させるには、新規顧客の獲得だけでなく、リピーターの確保が欠かせません。そのためには、効果を実感できる施術力を身につけることはもちろん、丁寧なカウンセリングや日常生活でのアドバイスを通じて「また来たい」と思わせる接客を意識することが大切です。顧客との信頼関係を築くことで、定期的な来院につながります。
開業前から集客・認知施策を準備しておく
開業後に集客を始めるのではなく、オープン前から情報発信を行って認知を広げておくことが効果的です。ホームページやSNSでの情報発信、地域でのチラシ配布やイベント出店などを通じて、開業当初から顧客を獲得できる状態をつくっておきましょう。オープニングキャンペーンや体験メニューを用意すれば、初来院につなげやすくなります。
整体院の物件探しならテナリードへ
整体院を開業する際、立地や物件選びは成功を大きく左右するポイントです。駅からのアクセス、近隣住民の年齢層や生活導線、競合状況などを総合的に判断しなければなりません。しかし、自分だけで条件に合う物件を探すのは時間も労力もかかります。
そんなときに活用していただきたいのがTENALEAD(テナリード)です。
テナリードは出店希望者と不動産業者をつなぐマッチングサービスで、希望条件を登録するだけで不動産業者から直接オファーが届きます。
自ら物件を探す手間を省けるだけでなく、現在営業中の物件や非公開の居抜き物件など、通常では出回らない情報を紹介してもらえるのも大きなメリットです。
また、テナリードには全国の不動産業者が登録しており、事業用物件に強いプロとマッチングすることができます。
整体院の開業に適した物件を効率的に見つけられるため、準備段階の時間を大幅に短縮できるでしょう。
整体院の開業を成功させるためにも、物件探しのパートナーとしてテナリードを活用してみてください。
まとめ
整体院の開業には、コンセプトづくりから立地選び、資格や届け出、資金調達、設備準備、そして集客施策まで、踏むべきステップが数多くあります。特に、内装や施術内容がコンセプトに合っているか、ターゲット層に適した場所を選べているかどうかが、経営の安定に直結します。
また、初期費用や運転資金を含めて数百万円規模の資金が必要となるため、資金計画を入念に立て、日本政策金融公庫や自治体の補助金を活用するなど調達手段を確保しておくことが重要です。さらに、開業後の成否を分けるのはリピーターの獲得です。施術力・接客力を磨き、信頼される整体院を目指しましょう。
物件探しは整体院開業の大きなハードルのひとつですが、テナリードを利用すれば効率的に理想の物件を見つけられます。非公開物件の情報も得られるため、他院との差別化にもつながります。
入念な準備と戦略的な運営、そして信頼できる物件探しのパートナーを見つけることが、整体院開業を成功に導くカギとなるでしょう。

