商店街は、地域住民にとって日常的に利用される生活の拠点であり、開業する側にとっても大きなチャンスが眠る場所です。特に近年は、空き店舗の活用や地域活性化を目的とした助成金制度が整備されており、低コストで開業できる環境が広がっています。
とはいえ、「資金は足りるだろうか」「本当にお客さんは来てくれるだろうか」といった漠然とした不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。商店街での開業は、夢と同時に悩みもつきものです。
この記事では、商店街での開業に使える助成金や基礎知識、メリット、成功のポイントを整理しながら、不安を一つひとつ解消し、安心して次の一歩を踏み出すためのヒントをご紹介します。
商店街での開業で使える助成金
商店街での開業には、初期費用や賃料など大きな資金が必要ですが、東京都をはじめ全国の自治体では、開業を支援するための助成金制度が用意されています。ここでは代表的な制度を紹介します。
【東京都】若手・女性リーダー応援プログラム助成事業
東京都が実施する「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」は、商店街での新規開業を後押しする代表的な制度です。対象となるのは、都内商店街で新規に店舗を構える女性起業家や39歳以下の若手男性起業家。地域に新しい視点を取り入れ、商店街の活性化につなげることを目的としています。
助成の対象となる経費は幅広く、店舗の新装・改装工事費、内外装工事、什器・備品購入、広告宣伝費、賃料が含まれます。特に賃料の補助は大きなメリットで、交付決定から3年間にわたり支援が続きます。1年目は月額上限15万円、2年目は12万円、3年目は10万円と段階的に設定されており、開業直後の資金負担を大きく軽減できます。
また、助成率も高く、対象経費の3/4以内を補助してもらえる点も魅力です。たとえば、400万円までの工事費や設備投資が助成されるため、初期投資の負担を抑えながら理想の店舗づくりが可能になります。
この制度は単なる資金援助にとどまらず、地域に根ざした持続可能な事業を育成することを目的としています。商店街という立地の特性を生かしつつ、新しい顧客層を取り込むチャレンジをしたい方にとって心強いサポートとなるでしょう。
参考:商店街起業・承継支援事業
【東京都】商店街企業・承継支援事業
東京都の商店街起業・承継支援事業」制度は、都内の商店街で新たに開業する個人事業主や中小企業者、あるいは既存店舗を引き継いで事業承継を行う人を対象に、経費の一部を助成する仕組みです。新規開業だけでなく、既存の店舗を次世代に引き継ぐケースも支援対象となるため、地域で長く事業を続けたい人にとって有効な制度です。
助成の対象となる経費は、店舗の新装・改装工事費、設備・備品購入費、宣伝広告費、店舗賃借料と幅広く設定されています。特に賃料補助は、交付決定から3年間にわたり段階的に支援が続き、1年目は月額上限15万円、2年目は12万円、3年目は10万円が補助されます。開業から数年間は固定費の負担が大きく経営が不安定になりやすい時期ですが、この制度を利用することで安定した経営基盤を築きやすくなります。
助成率は対象経費の2/3以内、上限額は250万円(事業所整備費)と定められており、東京都のもう一つの支援制度「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」と比較すると助成率や上限はやや控えめですが、年齢や性別の制限がなく幅広い層が対象となる点が大きな特徴です。
商店街での新規事業立ち上げはもちろん、事業承継や異業種参入を考える人にとっても心強い制度であり、地域のにぎわいづくりと経営の安定化を両立させる支援策といえるでしょう。
参考:商店街起業・承継支援事業
全国でも商店街の支援助成金は多い
東京都以外でも、各自治体が商店街の空き店舗活用や新規出店を後押しする補助制度を設けています。例えば、札幌市の「商店街商業機能向上支援事業」では、商店街の集客力アップや空き店舗の利活用を目的とした取組を補助しています。
・一般型:上限50万円(補助率2/3)/紙媒体による販促など
・デジタル活用型:上限75万円(補助率3/4)/SNS・アプリを活用した販促など
・魅力アップ型:上限200万円(補助率4/5)/空き店舗改装やコミュニティ拠点の整備など
募集は予算上限に達し次第終了となることが多いため、まずは出店希望場所の自治体で助成金があるかどうか確認してみましょう。
商店街での開業に役立つ基礎知識
2024年(令和6年)の「商店街実態調査」によると、全国の商店街における総店舗数は126,709店で、1商店街あたりの平均は51.1店となっています。前回調査(令和3年度)の51.2店からわずかに減少しているものの、大きな変化はなく、全国的に商店街が地域の暮らしを支える場として機能していることが分かります。
業種別では、飲食店が38.7%と最も多く、次いで買回り品小売店が16.9%、最寄品小売店が16.2%を占めています。人口規模が小さいエリアほど日用品を扱う最寄品小売店の割合が高まる傾向があり、地域の生活に密着した商店街の特徴が表れています。
こうしたデータからも、商店街は今なお人々の生活動線に根付いた存在であり、新たに開業を目指す人にとっては「地域ニーズに応じた出店のチャンス」があるといえるでしょう。
参考:商店街実態調査報告書
空き店舗は増加する見通し
全国商店街振興組合連合会の調査によると、直近1年間で「空き店舗が増えた」と回答した商店街は16.9%にのぼります。
空き店舗が埋まらない理由をみると、貸し手側(地主・家主)の事情としては「店舗の老朽化(40.4%)」「所有者に貸す意思がない(38.1%)」が多く、借り手側(テナント)の事情では「店舗の老朽化(36.8%)」「家賃の折り合いがつかない(34.9%)」「商店街に活気や魅力がない(29.7%)」が挙げられています。
また、空き店舗が解体・撤去された後の活用状況をみると、「空き地のまま(33.6%)」が最も多く、次いで「駐車場(28.2%)」「住宅(25.7%)」となっています。特に人口規模が小さい町や村では、「空き地のまま」の割合が50%を超えており、利活用が進みにくい現状が浮き彫りになっています。
商店街の景況感として「衰退している」と答える声はありますが、見方を変えれば「新規参入者にとっては空き物件を見つけやすい状況」ともいえます。条件さえ合えば、好立地の店舗を比較的安く借りられるチャンスにつながる可能性が高いのです。
参考:商店街実態調査報告書
商店街で開業するメリットと魅力

商店街での開業には、大型商業施設や駅前立地とは異なる特徴的なメリットがあります。地域に根ざした経営がしやすく、コストを抑えながら安定した集客につなげられる点は、個人事業主や小規模ビジネスにとって大きな魅力です。ここでは、商店街で開業する際に得られる代表的なメリットをご紹介します。
地域密着型で常連客がつきやすい
商店街は地域住民の生活動線にあり、日常的に足を運ぶ人が多い場所です。そのため、一度お店を気に入ってもらえればリピーターになりやすく、安定した売上につながります。大手チェーン店とは異なり、地域密着型ならではの「顔なじみのお客様」との関係を築きやすいのが大きな魅力です。
家賃が比較的安く、初期費用が抑えられる
商店街の物件は駅前の大型商業施設やオフィス街に比べて家賃が低めの傾向があります。
たとえば、東京の商店街近くの路面店(駅前エリア)では坪単価3万円〜3.5万円/坪という物件も見られ、中階や裏通りではこれよりも安価になるケースが多いです。住宅街の路面店では8千円〜2万円/坪程度となっています。
地方都市ではこれらの家賃が2割〜3割程度安くなる傾向があります。
また、上記でお伝えしたような助成金が使える可能性も高く、初期費用をより抑えることが可能です。そのため、商店街での開業は、個人事業主や小規模ビジネスにとってチャレンジしやすい環境といえます。また、居抜き物件を活用できれば内装工事費をさらに削減でき、スピーディーな開業が可能です。
地域イベントなどで販促チャンスが多い
商店街では季節のイベントや地域行事が盛んに行われることが多く、来街者が普段より増える機会があります。例えば、夏祭りや歳末セール、マルシェといったイベントでは、新規顧客にアプローチできる絶好のタイミングとなります。地域ぐるみの取り組みに参加することで、自然とお店の認知度も高まり、販促効果が期待できます。
商店街での出店を成功させるポイント
商店街で新たにお店を構える際には、ただ立地が良いからという理由だけでは成功にはつながりません。地域性や来街者の傾向、周囲の店舗との調和など、商店街ならではの要素を踏まえた戦略が必要です。ここでは、商店街での出店を成功させるために欠かせない3つのポイントをご紹介します。
地域ニーズと競合を徹底的にリサーチする
出店前のリサーチは、商店街での成否を左右する重要な工程です。まずは、その商店街がどのような人に利用されているのかを把握しましょう。平日と休日、昼と夜で人の流れは異なりますし、来街者の年齢層や生活スタイルによっても求められる商品やサービスは変わります。
たとえば、年配の方が多いエリアでは健康志向の商品や、わかりやすい商品配置やサービス内容が好まれることがあります。一方、子育て世代が多い地域では、ベビーカーでも入りやすい設計や子ども向けのサービスが喜ばれます。加えて、同業他社の出店状況や価格帯、人気商品を調査し、自店の強みや差別化ポイントを明確にしておくことが肝心です。
現地での観察に加え、自治体の人口動態データや商工会議所などの情報も活用すると、より精度の高いリサーチが可能になります。
商店街の人との関係構築が成功のカギ
商店街は"地域コミュニティ"の色が濃いエリアです。そのため、店舗運営だけでなく、近隣店舗や地元住民との関係性も非常に重要なファクターとなります。日々の挨拶やちょっとした会話、イベントへの参加などを通じて、信頼を積み重ねていくことが欠かせません。
特に、商店街振興組合や町内会が主催する催しに積極的に参加すると、顔を覚えてもらいやすくなります。協調性のある店舗は、近隣からの紹介や口コミによる集客にもつながりやすく、結果的に地域から"愛される店"として定着していきます。
また、長年その地で営業してきたベテラン店舗から得られる情報は貴重です。商店街全体の傾向や、過去の成功・失敗例などを共有してもらえることもあるため、積極的に話を聞く姿勢を持つとよいでしょう。
SNSやWEBを活用して集客力を高める
商店街というとアナログなイメージを持たれがちですが、実際にはオンラインとの掛け合わせが大きな効果を発揮します。特に、SNSやWEBサイトを活用することで、遠方からの集客や若年層への認知拡大が可能となります。
InstagramやX(旧Twitter)などでは、商品やサービスの魅力を写真や動画で発信することで視覚的な訴求ができ、店舗の雰囲気やスタッフの人柄を伝えることもできます。また、盆踊りなどのお祭りの出店や、他店舗と協力したスタンプラリーなどの商店街全体でのイベントを開催する際にSNSで告知することで、他店舗とも連携した広報が可能となり、集客効果が高まります。
Googleマップや口コミサイトへの登録も忘れずに行いましょう。検索時に情報が整っているだけで、来店のハードルを下げることができます。
商店街での出店においては、従来の人のつながりを大切にしながらも、デジタルの力を活用して集客を強化していく姿勢が求められています。リアルとWEBの両輪で運営を進めることで、着実にファンを増やしていけるでしょう。
商店街での物件探しのコツ

商店街での出店において、最初の関門となるのが「物件探し」です。ただ空いている物件を見つけるだけでなく、地域のニーズや今後の展開も見据えて選ぶ必要があります。商店街という特性を活かすには、周囲の人の流れや地域の動向をしっかりと把握しながら検討を進めることが大切です。ここでは、商店街で理想の物件を見つけるための具体的なポイントをご紹介します。
自治体や商工会議所の空き店舗情報を活用する
商店街での物件探しでは、まず自治体や商工会議所が公開している「空き店舗バンク」や「空き店舗対策事業」をチェックしましょう。こうした公的な仕組みは、地域の活性化を目的としており、物件情報だけでなく、補助金制度や専門家による支援制度がセットになっていることもあります。
とくに、地方自治体では移住・起業支援の一環として、商店街に出店する店舗に対し家賃補助や内装費の助成を行っているケースもあります。個人ではなかなか入手できない情報も多いため、まずは地元の商工会議所や市区町村の担当窓口に相談してみるのが賢明です。
物件選びは周辺の人の動きとセットで見る
商店街の物件選びでは、「立地の良さ=人通りの多さ」だけで判断しないことが重要です。たとえば、昼間に人が多くても、それが買い物客ではなく通勤通学の通過者であれば、実際の集客にはつながりにくいことがあります。物件の真正面だけでなく、周囲の導線や視認性もあわせてチェックしましょう。
具体的には、曜日ごとの通行量、時間帯による人の動き、周囲にある店舗や施設との相性などを観察することが大切です。また、地域住民の生活リズムやイベント開催状況も把握しておくと、繁閑の波が読みやすくなり、集客のタイミングを見極めやすくなります。
居抜き物件なら開業のスピードも速くできる
開業準備を効率よく進めたい場合は、「居抜き物件」の活用も選択肢のひとつです。前店舗の設備や内装をそのまま使える居抜き物件は、初期費用を大幅に抑えられるだけでなく、工事期間も短縮できるため、スピーディーな開業が可能になります。
ただし、前店舗の業態やイメージが強く残っていると、自店のブランドが伝わりにくくなることもあるため、必要に応じてリニューアルや看板の工夫が求められます。また、設備の状態や契約内容(造作譲渡費用など)についても事前によく確認しておくことが大切です。
物件探しは、商店街での出店を成功させるための土台づくりともいえます。焦らずじっくりと検討し、地域の特色や自店の戦略に合った場所を選ぶことが、長く愛される店舗づくりの第一歩となります。
物件探しならテナリードへ!
商店街での出店を成功させるには、地域との相性が良く、かつビジネスとしての可能性が広がる物件選びが欠かせません。しかし、現地での情報収集や各所への問い合わせには時間と手間がかかり、「どこから探せばいいかわからない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
そんなときに役立つのが、店舗物件マッチングサービス「TENALEAD(テナリード)」です。テナリードでは、エリア・業種・希望条件などをもとに、不動産業者が募集している物件情報と出店希望者をつなぎます。商店街や商業施設など"集客が見込める立地"の候補を一度に比較・検討できるのが大きな特徴です。
また、テナント募集を行っているオーナーや不動産業者との直接マッチングが可能なため、通常では出回りにくい非公開物件に出会えることもあります。効率よく、自分に合った場所で出店を検討したい方にとって、テナリードは心強い選択肢となるでしょう。
まとめ
商店街での出店を成功させるには、地域のニーズと競合を見極め、人とのつながりを築きながら、情報発信や集客にも力を入れていくことが重要です。その出発点となるのが"物件探し"。自治体の支援制度や周辺の人の流れ、居抜き物件のメリットなどを理解したうえで、理想的な立地を見つけることが、長く続く店舗経営につながります。
「どこに出店すればよいかわからない」「最短で最適な物件を見つけたい」という方は、物件探しから開業支援までワンストップでサポートするテナリードの活用が心強い味方になります。自分の理想とするお店を現実のものにするために、ぜひテナリードでの物件探しを始めてみてください。

