店舗の開業資金はいくら必要?具体的な内訳や調達方法を徹底解説

店舗開業に必要な資金の平均は、約1,000万円前後です。具体的な内訳としては、物件費、内装・設備費、運転資金、生活費用などが挙げられます。資金調達の方法には、融資や補助金などがおすすめです。本記事では、店舗開業に必要な資金の内訳や調達方法を解説します。

目次

    店舗開業に必要な資金は平均1,000万円前後といわれています。具体的な内訳としては、物件費、内装・設備費、運転資金、生活費用などが必要です。必要な開業資金額を算出し、資金調達の方法や使い道に優先順位をつけることで、スムーズな開業準備を進められます。本記事では、店舗開業に必要な資金の内訳や調達方法を解説します。

    店舗開業に必要な資金の平均額

    店舗開業に必要な資金の平均額の写真


    日本政策金融公庫・総合研究所が実施した「2021年度新規開業実態調査」によると、店舗開業に必要な費用の平均は約1,000万円前後です。しかし、この金額はあくまでも平均のため、実際は開業する業態や店舗の広さ、立地条件などによって大きく変動します。例えば、同じ飲食店でも都心部の一等地に出店する場合は、地方の郊外に出店する場合に比べ、物件取得費や内装設備費が高額となるでしょう。店舗開業を検討する際は、自社の事業計画に基づいて詳細な資金計画を立てる必要があります。

    出典:「2021年度新規開業実態調査」

    融資と自己資金の割合

    日本政策金融公庫・総合研究所の「2021年度新規開業実態調査」によると、約1,000万円の内訳は金融機関からの融資が平均825万円、自己資金が平均266万円です。つまり、開業資金の1,000万円のうち、自己資金は3割程度、約300万円を用意していることになります。これから店舗開業を検討している方は、3割程度が自己資金の目安であると頭に入れておきましょう。

    出典:「2021年度新規開業実態調査」

    開業に必要な資金の内訳

    開業に必要な資金の内訳は、下記の通りです。

    ●   物件取得費
    ●   内装・設備導入費
    ●   運転資金
    ●   生活資金

    物件取得費

    物件取得費とは、店舗開業に際して物件を取得するために必要となる費用のことです。
    具体的には、保証金、礼金、仲介手数料、前家賃などが含まれます。一般的に、物件取得費は家賃の10倍程度が目安です。例えば、月額家賃が30万円の物件であれば、物件取得費は約300万円程度かかると考えられます。
    保証金は物件の立地条件によって変動し、好条件の物件ほど高くなる傾向があります。そのため、物件取得費を見積もる際は、立地条件を十分に考慮し、余裕を持って積算しましょう。
    その他の費用の一般的な目安は、下記の通りです。

    ●   礼金:家賃の1ヶ月分程度
    ●   仲介手数料:家賃の1ヶ月分程度

    また、前家賃として契約開始月の日割り家賃と、翌月の家賃を支払う必要があります。店舗開業を検討する際は、これらの費用を十分に見積もり、開業資金を確保しましょう。

    内装・設備導入費

    内装・設備導入費は、店舗としての機能と雰囲気を整えるために必要な費用です。
    具体的な内容としては、内装工事費、厨房機器の導入費、調理台や棚などの備品費、食器や什器の購入費などです。内装のデザインや仕様、厨房機器の規模や仕様などによって大きく費用が変わってきます。また、物件の状態によっても費用が変動します。

    居抜き物件の場合は、内装がある程度整っているため、工事費を抑えられるでしょう。ただし居抜き物件であっても、コンセプトに沿って内装を大きく変えたいなどのこだわりがある場合は、内装工事費が高くなる可能性があります。そのため、内装・設備導入費は店舗の業態や物件の状態を踏まえ、詳細な見積もりを立てる必要があります。

    運転資金

    運転資金は、毎月の家賃・水道光熱費・通信費・仕入費用・スタッフへの給料など、店舗運営に欠かせない費用のことです。仮に売上がゼロの状況でも、これらの費用は支払わなければいけません。また、仕入の支払いに現金が必要となるケースがあるため、現金を運転資金として用意しておく必要があります。
    開業直後は、計画通りに売上が伸びないケースがあります。そのため、最低でも3ヶ月分、できれば6ヶ月分程度の運転資金を用意しておきましょう。

    生活費用

    店舗開業時には、開業者自身の生活費用も事前に準備しておくことが重要です。
    開業当初は、店舗の利益だけで生活費を賄うことは難しい場合があります。そのため、最低でも3~6ヶ月分の生活費用を確保しておくことがおすすめです。生活費用を開業資金の一部として用意しておくことで、安心して事業に取り組めます。生活費用を事前に準備しておけば、店舗の収支が安定するまでの間、生活面での不安を軽減できるでしょう。

    店舗開業資金を調達する方法

    店舗開業資金を調達する方法の写真


    店舗に必要な開業資金を調達する方法は、下記の通りです。

    ●   日本政策金融公庫で融資を受ける
    ●   銀行・信用金庫の融資制度を利用する
    ●   国や自治体の補助金や助成金を利用する
    ●   クラウドファンディングで資金調達する
    ●   家族や親族から借りる

    日本政策金融公庫で融資を受ける

    日本政策金融公庫は、中小企業や小規模事業者、農林水産業者に対して融資や信用保険による支援を行っている政策金融機関です。実績がなくても比較的審査が通りやすい創業向けの「新規開業資金」を用意しています。
    新規開業の場合、日本政策金融公庫から最大7,200万円の融資を受けられ、そのうち4,800万円を運転資金として活用できます。特に35歳未満の若者や55歳以上の方、女性の場合は、融資の金利が優遇されるため、お得に資金調達できます。これから融資を検討している方は、日本政策金融公庫の「新規開業資金」を検討してみましょう。

    出典:新規開業資金|日本政策金融公庫

    銀行・信用金庫の融資制度を利用する

    銀行や信用金庫の融資制度には、大きく分けてプロパー融資と信用保証付融資の2種類があります。
    民間金融機関から融資を受けるためには、事業計画書の作成や開業に必要な許可証の取得などが必要です。事業内容や資金使途、返済計画などを金融機関に説明できるようにしておきましょう。

    プロパー融資

    プロパー融資は、銀行などの金融機関と債務者が第三者の保証を受けずに行う融資のことです。つまり、保証人がいないため、債務者が返済できなくなった場合、金融機関は融資金の回収が難しくなります。開業間もない事業者の場合、信用力が十分ではないことから、プロパー融資を受けるのは難しい傾向にあります。金融機関としても、リスクが高いため、審査が厳しくなるのが一般的です。

    信用保証付融資

    信用保証付融資とは、中小企業や個人事業主が金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会が債務保証を行う制度です。
    通常、開業間もない事業者などは信用力が十分でないため、金融機関から融資を受けにくい傾向にあります。しかし、信用保証付融資を活用することで、金融機関がリスクを軽減できるため、比較的借りやすくなります。しかし、借主は信用保証協会に「保証料」を支払わなければいけません。融資を受けやすい代わりに、保証料を支払わなければいけないことを頭に入れておきましょう。

    国や自治体の補助金や助成金を利用する

    店舗開業の資金調達には、国や地方公共団体から支給される補助金や助成金を利用する方法があります。
    補助金は採択件数や金額に限りがあるのに対し、助成金は要件を満たせば誰でも受給できるのが一般的です。そのため、助成金のほうが補助金よりも利用しやすい傾向があります。
    補助金や助成金を受給できると、国や地方自治体から認められたことになるため、今後民間の金融機関に運転資金を申し込む際にアピールできます。ただし、補助金や助成金を受給するためには、要件を満たさなければいけません。書類作成も多いため、開業準備で忙しいなか時間をとられる可能性があります。自治体の補助金・助成金制度を確認し、自社に適したものを見つけましょう。

    創業助成事業

    東京都限定の創業助成事業は、最大400万円の助成金が受け取れる制度です。この制度は、都内で創業を具体的に計画している個人や創業から5年未満の中小企業が対象で、創業支援制度を利用していることが利用条件となります。創業助成事業は審査が厳しいため、申請要件を全て満たしているかを確認した上で申請しましょう。

    出典:創業助成事業

    若手・女性リーダー応援プログラム助成事業

    若手・女性リーダー応援プログラム助成事業は、東京都内の商店街への出店を対象とした助成金制度です。
    この助成事業の目的は、店舗の工事費など開業時の費用負担を軽減することです。対象者は、女性または39歳以下の男性で、過去に店舗を持っていないことが条件となります。個人事業主でも申請が可能です。助成金額は最大で844万円と高額なため、開業資金の確保に大いに役立つでしょう。

    出典:若手・女性リーダー応援プログラム助成事業

    クラウドファンディングで資金調達する

    開業資金の調達方法の一つとして、クラウドファンディングが挙げられます。
    クラウドファンディングとは、インターネット上で開業計画や目標資金額を発信し、不特定多数の人から少額ずつ資金を集めることです。クラウドファンディングは、融資や補助金、助成金などに比べて要件が緩やかであるため、手軽に資金調達できるのが特徴です。また、利息の支払いや担保も必要ありません。さらに、クラウドファンディングによって開業店舗の注目度が高まれば、PR効果が期待できます。

    しかし、クラウドファンディングでは、目標金額に達しないこともしばしばあります。また、支援してくれた方々に対してリターンを提供する必要があり、開業後の重荷になる可能性もあるでしょう。そのため、クラウドファンディングを活用する場合は、適切なリターンの設定や、目標金額の設定など、慎重な検討が必要です。

    家族や親族から借りる

    店舗開業に必要な資金を調達する際は、自己資金や金融機関からの借入だけでは不足する場合があります。そのような場合は、家族や親族からの借入を検討することも一つの選択肢です。
    家族や親族から資金を借りる際は、下記2つのことに気をつける必要があります。

    家族や親族から借りるの表


    家族や親族から資金を借りる際は、きちんと話し合って、お互いに納得した上で進めましょう。

    開業資金を抑える方法

    開業資金を抑える方法は、下記の通りです。

    ●   事業計画を見直す
    ●   開業資金の使い道に優先順位をつける
    ●   居抜き物件を借りる
    ●   リース契約を活用する

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    事業計画を見直す

    事業計画を見直すことで、費用を抑えられる箇所を見つけられるかもしれません。
    まず、業務プロセスの見直しが考えられます。開業にあたり必要な業務を洗い出し、効率化できる部分がないかを検討することで、不要な支出を削減できます。例えば、人件費を抑えるために自動化できる業務はないかを検討するなどが考えられます。
    次に、商品やサービス内容の見直しが重要です。
    サービスの内容や提供方法を工夫することで、より低コストでの実現が可能かもしれません。また、商品ラインナップの絞り込みにより、必要な設備投資を抑えられる可能性もあります。
    最後に、コスト構造の見直しも必要です。店舗の立地や規模、内装デザインなど、開業にあたっての様々な選択肢を再検討し、必要最小限の支出に抑えられないかを検討します。このように、事業計画を見直すことで、開業に必要な費用を抑えられる可能性があります。

    開業資金の使い道に優先順位をつける

    開業資金を抑えるためには、使い道に優先順位をつけることが重要です。
    開業に必要なものや、やるべきことをリストアップし、その項目に優先度をつける必要があります。
    まず、開業に必須なものから優先順位を高くしましょう。
    具体的には、店舗の物件取得費や内装・設備導入費などが該当します。これらの費用は、最優先で確保しなければいけません。一方で、運転資金や生活費用については、最低限必要な水準を確保した上で、余裕がある場合にのみ追加しましょう。すぐに必要のない費用を削減することで、開業時の資金負担を軽減できます。例えば、店内のインテリアや装飾などの備品の購入などが考えられます。
    このように、開業に必要なものに優先順位をつけることで、限られた開業資金を効果的に活用できるでしょう。

    居抜き物件を借りる

    居抜き物件は、既存の内装や設備を活用できるため、新規に物件を借りる場合に比べ、内装工事費や設備導入費を大幅に削減できます。
    居抜き物件の特徴は、下記の通りです。

    居抜き物件を借りるの表


    居抜き物件を活用することで、開業資金を大幅に抑えられます。ただし、既存の内装や設備に制限されるため、開業できる業態が限られる可能性があります。

    リース契約を活用する

    リース契約を活用することで、開業資金を抑えられます。
    リース契約とは、機械や設備などを直接購入せず、リース会社に設備や備品のリース料を支払って使うことです。店舗開業に必要な設備やシステムを直接購入すると、一度に大きな費用がかかります。しかし、リース契約を活用すれば、少額の月額料金で利用できるため、開業時の資金負担を軽減できるでしょう。また、リース契約の期間は、設備の耐用年数に合わせて設定できるため、常に最新の設備が使えます。リース料は経費として計上できるため、税務上のメリットも得られます。
    このように、リース契約を活用することで、開業時の資金を抑えつつ、最新の設備を導入できるでしょう。

    開業資金でよくある質問

    開業資金について、下記2つの質問に回答していきます。

    ●   自己資金なしでも開業できる?
    ●   補助金・助成金の条件はどこで確認できる?

    自己資金なしでも開業できる?

    自己資金なしでも開業できる可能性はありますが、現実的ではありません。
    小規模のお店であれば、融資や補助金・助成金などを活用することで、自己資金なしでも開業することは可能です。しかし、開業後の運転資金や生活費用を考えると、自己資金なしでの開業は非常にリスクが高いです。そのため、経営の安定性や持続性を考えると、自己資金があった方がいいでしょう。

    補助金・助成金の条件はどこで確認できる?

    補助金・助成金の条件は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しているJ-Net21で確認できます。
    J-Net21は、中小企業とその支援者、創業予定者とその支援者のためのポータルサイトです。このサイトでは、創業者向けの補助金・給付金制度が都道府県別にまとめられています。
    創業を検討している方は、J-Net21で自治体の補助金・助成金の情報を確認し、自社に適したものを見つけましょう。

    出典:創業者向け補助金・給付金(都道府県別) | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]

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    本記事では、店舗開業に必要な資金の内訳や調達方法、コストを抑える方法を解説しました。
    店舗開業に必要な資金は平均1,000万円前後で、そのうち3割程度の300万円が自己資金の目安とされています。資金調達方法は、日本政策金融公庫の融資、銀行・信用金庫の融資、国や自治体の補助金・助成金、クラウドファンディング、家族・親族からの借入などが一般的です。開業資金を抑えるには、事業計画の見直し、優先順位の設定、居抜き物件の活用、リース契約の活用などが考えられます。本記事を参考に、計画的に開業資金を調達しましょう。

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