歯科医院を新規開業するにあたって、多くの人が悩むのが「初期投資」と「開業準備にかかる時間」です。特に診療ユニットや配管工事などの設備費は高額になりやすく、資金計画に大きな影響を与えます。
そんななかで注目されているのが「居抜き物件」を活用した開業です。前の歯科医院が使用していた設備や内装を引き継ぐことで、コストを抑えつつスムーズに開業できる可能性があります。
この記事では、歯科医院の居抜き物件を活用するメリット・デメリット、探し方のポイントを解説します。
歯科医院開業に向けた居抜き物件の探し方
歯科医院を居抜き物件で開業するためには、適切な物件を効率よく見つけることが重要です。
居抜き物件を探すためには、
・不動産業者への直接相談
・居抜き物件専門のポータルサイトの利用
・業界ネットワークや知人からの紹介
上記の方法が一般的です。
歯科医院の居抜き物件は数が限られているうえ、設備や立地など条件によってはすぐに契約が決まってしまうケースも少なくありません。スピーディーかつ正確に情報を入手できる仕組みを活用することが、理想の物件に出会うための近道です。
居抜き物件の定義や基本情報については、以下の記事で詳しく紹介しています。
「居抜き物件とは？メリット・デメリット、契約の注意点を解説」
歯科医院の居抜き物件探しにおすすめのサイト
歯科医院の居抜き物件を探す際には、一般的な不動産サイトよりも事業用物件や医療系物件に強いサービスを利用することが効果的です。
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歯科医院を居抜き物件で開業するメリット
居抜き物件を活用して歯科医院を開業することには、多くのメリットがあります。特にコストやスピード面での優位性は大きく、資金計画や経営の安定性にもつながります。ここでは、居抜き物件を利用する際の主なメリットをご紹介します。
初期費用を大幅に抑えられる
歯科医院を新規で開業する場合、診療ユニットやレントゲン設備、配管工事、内装工事などに多額の費用がかかります。居抜き物件であれば、すでに前の歯科医院が整備した設備や内装を引き継げるため、初期費用を大幅に削減できます。資金に余裕が生まれることで、広告宣伝費や人材採用など、経営の立ち上げに必要な投資へと回すことが可能です。
開業までのスピードが早い
通常の新規開業では、設計から施工までに数ヶ月を要することがあります。居抜き物件であれば、すでに医療環境が整った状態からスタートできるため、最短数週間〜数ヶ月で開業できるケースもあります。スピード感を持って診療を開始できるのは、大きな魅力です。
既存設備をそのまま活用できる
歯科医院に必要なユニットやチェア、レントゲン機器、給排水の配管などは、導入コストだけでなく設置にも専門的な工事が必要です。居抜き物件なら、既存の設備をそのまま利用できるため、余計な工事や追加投資を避けられる点がメリットです。状態が良い設備を引き継げる場合には、開業直後からスムーズに診療を行うことができます。
マーケティングにも有利
居抜き物件は、すでにその場所で歯科医院が営業していた実績があります。そのため地域住民の認知度が高く、「ここに歯医者がある」というイメージが定着している点はマーケティングに有利です。新規開業のようにゼロから周知活動を行う必要がなく、早い段階で患者さんの来院につなげやすくなります。
歯科医院を居抜き物件で開業するデメリット
居抜き物件の活用には多くのメリットがありますが、一方で注意しておきたいデメリットも存在します。あらかじめ想定しておくことで、開業後のトラブルを防ぎ、安心して医院運営を始めることができます。
引き継いだ設備のメンテナンス費用が高くなる
居抜き物件では、前の歯科医院が使用していたユニットや配管設備をそのまま利用できるケースが多くあります。しかし、年数が経過した設備は故障や不具合が起こりやすく、メンテナンスや修繕に思わぬコストがかかる可能性があります。
開業直後に設備トラブルが発生すると、診療がストップして患者さんにも影響を与えかねません。契約前に必ず設備の状態を確認し、必要に応じて更新費用を見込んでおくことが大切です。
前の歯科医院のイメージを引き継いでしまう
その物件で以前に歯科医院が営業していた場合、地域の方にとっては「以前の医院」という印象が残っています。
もし前の歯科医院が閉院に至った理由が評判の悪さや患者減少であった場合、新しく開業してもマイナスのイメージを引き継いでしまう可能性があります。そのため、居抜き物件を検討する際には、前医院の閉院理由や地域での評価も事前に調べ、ポジティブに差別化できる開業準備を行うことが重要です。
歯科医院の居抜き物件で注意すべきポイント
居抜き物件を活用することで開業コストや準備期間を抑えられますが、物件選びの際にはいくつかの重要なチェックポイントがあります。契約後に思わぬトラブルが発生しないよう、事前に十分な確認を行うことが欠かせません。
ユニット・配管・設備の状態を確認する
診療ユニットやレントゲン、給排水配管などは歯科医院にとって欠かせない設備です。使用年数やメンテナンス履歴を確認し、必要であれば修繕・交換費用を見込んでおくことが重要です。特に配管は劣化が進んでいると後から大規模な工事が必要になる場合もあるため、専門業者によるチェックをおすすめします。
保健所の基準に適合しているか確認する
歯科医院を開業する際には、医療法や医療法施行規則で定められた構造設備の基準を満たしているかを確認する必要があります。これらは患者の安全とプライバシー、院内感染防止や防災の観点から重要な項目です。
具体的には、まず診療所が他の施設（住居や店舗など）と物理的に明確に区画されていることが求められます。さらに、待合室と診察室はそれぞれ独立し、用途が明確に分けられていることが必要です。プライバシー保護の観点から、扉などで空間をしっかり区切ることが推奨されます。
また、施設全体を常に清潔に保てるよう、十分な換気や照明設備を備えていることも基準のひとつです。歯科技工室を院内に設置する場合には、防塵設備や石膏阻集器などを整えなければなりません。さらに、エックス線装置を設置する場合には、放射線防護対策を施した専用の部屋と操作場所を確保する必要があります。
これらの基準は自治体によって運用や指導内容が異なる場合があるため、開業予定地の保健所に事前相談することが非常に重要です。平面図などを持参して確認を受けることで、届出手続きをスムーズに進めることができます。
参考：医療法|e-Gov法令検索
参考：診療所(歯科診療所）新規開設の手引き（法人開設）
契約条件や造作譲渡費用の妥当性を確認する
居抜き物件では、前の歯科医院が残したユニットや内装、造作に対して「造作譲渡費用」が設定されるケースが一般的です。しかし、その金額が市場価格や設備の状態に対して妥当かどうかを確認することが重要です。相場より高額な造作費を支払ってしまうと、せっかく居抜き物件を選んだメリットが薄れてしまいます。
また、賃貸契約の条件についても細かく確認する必要があります。契約期間、原状回復義務の範囲、解約時の条件などを十分に理解しておかないと、将来的に想定外のコストが発生するリスクがあります。複数の物件を比較検討し、必要に応じて専門家にアドバイスを受けながら、納得できる条件で契約を進めることが大切です。
元の歯科医院の閉院理由・評判を把握する
居抜き物件を選ぶ際には、その歯科医院がなぜ閉院したのかを把握しておくことも欠かせません。院長の引退や移転などポジティブな理由であれば問題ありませんが、経営不振や地域での評判の悪化が理由であった場合は、新規開業後にマイナスのイメージを引き継いでしまう可能性があります。
さらに、地域住民にとっては「以前ここにあった歯医者さん」という印象が残っているため、過去の評判がそのまま新しい医院への認知に影響することもあります。物件の条件面だけでなく、周辺住民の声や口コミをリサーチし、前の医院と差別化できる特徴（診療方針、サービス体制、診療時間など）を準備しておくことが成功へのカギとなります。
歯科医院を居抜きで開業する際の立地選びのコツ
居抜き物件を選ぶ際には、建物内部の設備だけでなく「立地条件」を慎重に見極めることが大切です。どれほど設備が整っていても、立地が不利であれば患者さんの来院は見込みにくくなります。ここでは、立地を判断する際に押さえておきたいポイントをご紹介します。
人口密度と競合のバランスを確認する
歯科医院は地域に根ざした医療サービスであるため、人口密度と競合医院の数のバランスを見極めることが重要です。人口が多いエリアでも競合が過密していれば集患が難しくなりますし、逆に競合が少なくても人口が少ない地域では安定した経営につながりにくい場合があります。自治体の統計データや商圏調査を参考に、患者需要と競合状況の両方を確認しましょう。
ターゲット層の生活導線上にあるか確認する
歯科医院の利用頻度を高めるには、患者層の日常生活の動線上にあるかどうかがポイントです。住宅地の中心や学校・駅・スーパーの近くなど、日常生活に組み込まれやすい場所は来院のハードルが下がります。特にファミリー層をターゲットとする場合は、保育園や小学校の近くなど、子育て世帯が立ち寄りやすい立地が有利です。
周辺環境と物件の外観イメージをチェックする
歯科医院は「安心感」や「清潔感」が重視されるため、周辺環境や物件の外観イメージも重要な要素です。周辺が暗い路地裏や雑多な環境では、初めて来院する患者さんが不安を抱く可能性があります。また、建物の老朽化や看板の設置制限があると医院のブランディングに影響することもあります。実際に現地を訪れて、周辺環境や物件の見え方を自分の目で確かめることが大切です。
居抜き物件をお探しならテナリードへ
歯科医院を居抜き物件で開業する際には、スピード感と効率性が成功のカギとなります。当社が提供する「テナリード」は、出店希望者と不動産業者をつなぐマッチングサービスです。
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また、テナリードに登録している事業用物件に強い全国の不動産業者と直接やり取りできるのも魅力です。歯科医院開業に求められる特殊な条件や設備要件を理解した専門家に相談できるため、理想の物件に出会いやすくなります。効率的かつ安心して物件探しを進めたい方は、ぜひテナリードをご活用ください
まとめ
歯科医院を居抜き物件で開業することは、初期費用を抑え、短期間で診療を始められる大きなメリットがあります。その一方で、設備の状態や過去の医院の評判、契約条件など注意すべき点も少なくありません。
成功のためには、設備や法的基準を十分に確認し、立地や地域特性を踏まえて物件を選ぶことが重要です。そして、効率的に安心して物件を探すなら、事業用物件に特化した不動産業者と直接つながれるテナリードが大きな力となります。
理想の歯科医院開業に向けて、居抜き物件を上手に活用し、スムーズなスタートを切りましょう。
