介護事業所の立ち上げ完全ガイド|必要な資格・資金・手順・成功のポイントを解説

介護事業所の立ち上げには、制度への理解や人材の確保、物件選びなど、専門的な準備が欠かせません。本記事では、開業までの流れや必要となる資格、利用できる助成金、成功のコツなどを丁寧に解説します。

目次

    介護事業は需要が高まっている分野の一つであり、地域の高齢者やその家族を支える大切な仕事です。そんな介護事業所を立ち上げたいと考えているものの、「何から始めれば良いのか分からない」「どんな手続きが必要なのか不安」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

    そこで本記事では、介護事業所を開業するための流れや必要な資格と人材の要件、開業資金の内訳や助成金の活用法などを分かりやすく紹介します。

    介護事業所を立ち上げるまでの流れ

    介護事業所を立ち上げるまでの流れは主に4ステップです。

    1)事業形態・対象サービスの決定
    2)法人設立・事業計画書の作成
    3)物件選定・人材確保・備品準備
    4)指定申請・実地指導

    ここでは、開業までの基本的な流れを詳しく見ていきましょう。

    1)事業形態・対象サービスの決定

    まず最初に決めるべきは、どのような介護サービスを提供するかという点です。訪問介護や通所介護(デイサービス)、小規模多機能型居宅介護など、複数の事業形態が存在し、それぞれ運営ルールや必要な体制が異なります。

    また、地域の高齢者数や他事業所の状況を踏まえ、どのサービスに需要があるのかを見極めることも重要です。提供するサービスを明確にすることで、必要な人員配置や物件要件、申請書類の種類などを明確に決められるようになります。

    2)法人設立・事業計画書の作成

    介護事業は、原則として法人のみが運営できるしくみとなっています。そのため、個人での開業を希望する場合も、株式会社や合同会社、NPO法人などとして法人登記を行う必要があります。

    法人設立後は、指定申請や融資の審査に備えて具体的な事業計画書を作成しましょう。事業計画書には、提供サービスの内容、見込み利用者数、人員配置、収支予測などを明記します。

    しっかりとした計画を立てることで行政への信頼や金融機関からの評価も高まり、申請や融資がスムーズに進む可能性が高くなります。

    3)物件選定・人材確保・備品準備

    次に、事業計画に沿ってサービス提供に適した物件を探し、人材と備品の準備に取りかかります。物件はバリアフリー対応や導線の確保、面積基準などの要件を満たす必要があるため、介護事業向けの条件に詳しい不動産業者に相談するのが得策です。

    また、介護スタッフや管理者、サービス提供責任者など、各職種ごとに必要な人材を早期に確保し、内定者には研修やマニュアル整備を進めておくことをおすすめします。

    備品についても、ベッドや車椅子、福祉用具などに加え、連絡帳や記録ソフトといった運営に必要なツールを前もって揃えておく必要があります。

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    4)指定申請・実地指導

    必要な設備や体制が整ったら、各都道府県や市区町村に介護保険サービス事業者としての指定申請を行います。提出書類は多岐にわたり、商業登記事項証明書や平面図、運営規程などが必要です。

    書類審査が通ると行政担当者による実地指導が行われ、基準を満たしていれば指定が受けられてサービスの提供を開始できます。なお、指定を受けるまでには1ヶ月程度かかるケースが多いため、スケジュールには余裕を持たせるようにしてください。

    介護事業の市場規模とは?

    介護サービスは、要介護認定を受けた高齢者が自治体を通じて利用できるしくみであり、訪問介護やデイサービス、有料老人ホームなど、民間企業や社会福祉法人が運営する多様な形態があります。

    厚生労働省の発表によると、令和5年度の介護保険総費用は約11.5兆円にのぼり、前年度から約3,227億円(2.9%)増加しています。高齢者人口の増加に伴い、介護サービスの需要は今後も拡大が予想されており、介護事業は将来性のある分野といえるでしょう。

    参考:介護保険総費用の推移|厚生労働省

    介護事業所立ち上げに必要な資格と人材要件

    介護事業所立ち上げに必要な資格と人材要件の写真


    介護事業所を運営するためには法人の設立だけでなく、スタッフや管理者に関する一定の資格・条件を満たす必要があります。

    ここでは、介護事業所の立ち上げに欠かせない資格や人材の要件について具体的に解説します。

    スタッフに必要な資格

    提供する介護サービスの種類に応じて、スタッフに求められる資格が異なります。

    たとえば、訪問介護の場合、実際に利用者の自宅で身体介護や生活援助を行う職員には「介護職員初任者研修」「介護福祉実務者研修」「介護福祉士」などの資格が必要です。その他にも、「社会福祉士」「介護予防運動指導員」など、役割に応じた資格が求められます。

    なお、スタッフの構成は指定申請の際に審査対象となるため、基準に適合した人材を計画的に確保しておくことをおすすめします。

    サービス提供責任者や管理者の要件

    介護事業所には、「サービス提供責任者(訪問介護の場合)」や「管理者」の配置が義務づけられています。

    訪問介護におけるサービス提供責任者は、介護福祉士や実務者研修修了者、旧介護職員基礎研修課程修了者などが対象です。

    一方、管理者は原則常勤である必要があり、資格要件はサービス形態によって異なりますが、介護福祉士や看護師などの実務経験者が望ましいとされます。

    これらの職種は利用者との信頼関係の要でもあり、業務の中心を担う重要な存在です。人材確保が難しい地域では、早めの採用活動と研修体制の整備が求められます。

    法人格の取得と代表者の要件

    介護事業を行うには、株式会社や合同会社、NPO法人などの「法人格」を有していることが前提となります。先述した通り、個人では開業できないため、事業開始前に法人を設立しておく必要があります。

    法人の代表者には特別な資格は不要で、欠格事由に該当しなければなることは可能です。しかし、現場に関わる可能性が高い場合は、介護関連の基礎知識やマネジメントスキルを身につけておくと事業所の運営を円滑に進めやすくなります。

    介護事業所立ち上げに必要な資金

    介護事業所の立ち上げには、物件取得費や設備投資、人材確保など、さまざまな費用が発生します。
    ここでは、主な資金の内訳と必要な資金をどのように調達すれば良いのかを詳しく紹介します。

    開業資金の内訳

    介護事業所の開業資金は規模やサービス内容によって異なります。具体例として、訪問介護の場合は以下のような費用が発生します。

    開業資金の内訳の表

    資金調達の方法

    介護事業の開業では、日本政策金融公庫や地方自治体の制度融資を活用して資金を調達するケースが一般的です。中でも日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は、無担保・無保証で利用しやすく、創業期に適した制度として知られています。

    また、自治体や商工会議所が提供する創業支援制度や融資メニューもあり、事業計画書をもとに相談することで条件に合った制度を紹介してもらえる場合もあります。

    開業準備の初期段階から資金繰りと事業計画をセットで検討しておくことで、安定した事業運営をスタートできるようになるでしょう。

    事業所の立ち上げや開業の際に活用できる助成金や補助金については、以下の記事でも詳しく紹介しています。
    「開業時におすすめの補助金・助成金制度11選。申請時の注意点も解説」

    介護事業所立ち上げに使える助成制度

    介護事業所の立ち上げでは、国や自治体の助成金を上手に活用することで初期コストや人件費の負担を軽減できます。
    ここでは、特に利用される機会の多い2つの助成制度について解説します。

    人材確保・育成費の助成金

    介護業界では、慢性的な人手不足が課題となっていることからスタッフの採用や育成を支援するための助成制度が複数用意されています。主な助成金として、以下の6種類が挙げられます。

    人材確保・育成費の助成金の表

    設備導入の助成金

    介護サービスの提供に必要な設備を導入する際にも、活用可能な補助金があります。主な助成金として、以下の4種類が挙げられます。

    設備導入の助成金の表

    介護事業所立ち上げを成功させるコツ


    介護事業所の立ち上げを成功させるコツとして、以下の3つが挙げられます。

    地域ニーズに寄り添ったサービス設計を行う
    ICT活用や業務効率化でスタッフの負担を軽減
    信頼関係の構築と紹介ネットワークづくり

    ここでは、成功する介護事業所に共通するポイントについて詳しく紹介します。

    地域ニーズに寄り添ったサービス設計を行う

    介護事業所を成功させる上で最も大切なのは、「その地域で本当に求められているサービスを提供できているか」という点です。

    たとえば、高齢化が進んでいる地域では日中の見守りが中心となる通所介護がニーズに合う場合もあれば、独居高齢者の多いエリアでは訪問介護の需要が高まっていることもあります。ニーズに合ったサービス展開は利用者の満足度や紹介の広がりにつながり、結果として安定した運営基盤を築くことができます。

    事前に地域包括支援センターや自治体の高齢者福祉計画を確認し、地元住民との会話やヒアリングを通じて地域ごとの課題や傾向を把握しましょう。

    ICT活用や業務効率化でスタッフの負担を軽減

    介護事業所では、スタッフの業務負担が大きくなりがちです。記録業務や情報共有、シフト管理などに多くの時間が割かれる傾向にあります。

    こうした課題に対応するためには、ICTツールの導入による業務効率化が有効です。タブレットによる介護記録の入力や、クラウド型のシフト管理・利用者管理システムなどを導入することでスタッフの作業時間を削減し、本来のケアに集中できる環境が整います。

    働きやすさを高める取り組みは離職防止や採用力の強化にもつながり、事業全体の安定化に寄与します。

    信頼関係の構築と紹介ネットワークづくり

    介護サービスは利用者との信頼関係が重要であり、同時に地域とのつながりを持つことが経営の安定にもつながります。

    開業当初は知名度が低いため、地域の医療機関やケアマネジャー、行政機関との連携を強化し、紹介ネットワークを築くことが大切です。

    また、定期的に連絡を取り合い、サービスの特徴や対応力をアピールすることで紹介件数が増え、安定した集客につながります。

    介護事業所立ち上げで注意すべきポイント

    介護事業所立ち上げで注意すべきポイントの写真


    介護事業所の開業を成功させるには制度面や資金面の準備だけでなく、運営に直結する実務的なポイントにも十分な配慮が必要です。特に注意したいポイントとして、人材の確保・育成が挙げられます。

    介護業界は全国的に人手不足が続いており、有資格者や経験者の採用が難しいことも少なくありません。そのため、採用だけでなく、未経験者を育成しながら戦力化できるしくみを整えることが求められます。

    また、通いやすい立地のテナントを選ぶことも、利用者・スタッフ双方にとって重要なポイントです。駅からのアクセスや駐車場の有無、バリアフリー対応などを事前に確認し、利用しやすい環境を整えましょう。

    その他にも、設備基準や消防・衛生面の法的要件を事前に確認し、改修や追加工事の必要がないかを見極めておくことも重要です。開業後に想定外のコストが発生するのを避けるためにも、立地と物件選びには十分な時間をかけて検討してください。

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    介護事業所の立ち上げでは、サービス内容や人材確保と並んで物件選びも大切です。訪問介護や通所介護、福祉用具貸与など、提供するサービスの種類によって求められる広さや設備が異なるため、開業予定地の選定には慎重な判断が求められます。

    しかし、自力で探すのは簡単ではなく、理想的な物件を探すまでに手間と時間がかかってしまいます。そんなとき活用していただきたいのが、事業用物件のマッチングサービス「TENALEAD(テナリード)」です。

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    介護事業所にふさわしい物件を見つけたい場合は、テナリードの活用をぜひ検討してみてください。

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